私たちの本棚
—赤川 次郎 著—疲れた頭にはミステリーを—三毛猫ホームズの推理
小林 佐智子
1
1東京医科歯科大病院検査部
pp.240
発行日 1983年3月1日
Published Date 1983/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202714
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一昨年から全検査室がコンピューター一色になりました.初めは混乱,そして慣れるに従って合理的ではあるし,処理も速いし"コンピューターは良い物だ"と思えてきましたが,でもやはり非人間的なんですよネ.融通がきかない頑固物なんです.そんなカレと対決して疲れた頭には,場面の転回が速いシャレたミステリーを読むのが最高です.
推理小説は読まないと言う人はいても,シャーロック・ホームズの名前を知らないという人は余程の変人か,さもなければエーリアンに違いないですよネ.この推理の大天才に魅せられて以来,シャーロック・ホームズと名のつくものならパロディだろうが何んでもかんでも手を出してきました.ところがその結果は惨敗.言うなれば,月とスッポン,バターとマーガリン,ミンクのコートとうさぎのシッポ,ケルダール法が窒素の測定で他の追随を許さないように,真物のシャーロック・ホームズはますますピカピカとしてきて,もうパロディ類は読むのをよそうと思っていたんです.でも長年の習慣とは恐ろしいもので,本屋さんで「三毛猫ホームズの推理」という題が目にとびこむと,もう手はお財布に伸びていました.買ってしまった以上は読まない手はない,と思って読みはじめると,ムム.これは…….
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