検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
抗インスリン抗体の検索
小口 修司
1
,
竹下 栄子
1
,
加野 象次郎
1
1慶応義塾大学病院中央臨床検査部
pp.788-792
発行日 1982年9月1日
Published Date 1982/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202574
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インスリン依存型糖尿病患者(Insulin-Dependent Diabetes Mellitus)の治療にウシやブタなどのインスリン製剤が投与されるが,これら異種動物のインスリンは非自己として認識され,患者血中にその外因性インスリンに対する抗インスリン抗体が出現することはよく知られている.また,1970年に平田ら1)はインスリン投与の既往がないにもかかわらず,何らかの原因で自己のインスリンに対する抗体の出現するインスリン自己免疫症候群を報告した.
インスリンの測定にはBerson & Yalow2)により開発されたラジオイムノアッセイ(RIA)が広く用いられており,その定量値は免疫学的方法に基づくことにより,インスリンの免疫活性(immunoreactive insulin;IRI)として表わされる.抗インスリン抗体保有患者の血中IRI測定においては,この血中の抗体が測定系の抗原抗体反応に干渉を及ぼすため,IRI測定の目的である膵β細胞機能の推定は不可能となる.ここでは血中に抗インスリン抗体が存在したときの検索について,データの評価も含めて解説したい.
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