検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
検尿と精度管理用物質
富田 仁
1
1京都大学医療技術短期大学部
pp.407-412
発行日 1982年5月1日
Published Date 1982/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202492
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検尿は,臨床検査として最も古くから行われ,現在でも健診,検診をはじめスクリーニング検査としてベッドサイド検査として,また,follow up検査,時に確認検査として,どこでもいつでも高頻度に行われている.しかし,精度管理の面から眺めると,検尿は他の臨床検査に比してもっとも遅れている.試験紙法が出現する以前までは,検尿の検査法は,ほぼ一定していたが,試験紙法が出現し,検査法の変遷が急ピッチに起こってからは,検尿データの動揺は想像以上に大きく,世界中どの国のcontrol surveyの成績を見ても,C.V.が30〜180%である.これは,検体そのものが不安定であるばかりではなく,標準物質(standard material)ないし参考物質(reference material)といわれるような精度管理用物質を使用しなかったたあと肉眼で見るという個人差が大きく出るためである.
最近ようやく,検尿においても標準物質なり参考物質を使用しなくてはならないし,標準法ないし参考法も確立しなくてはならないとの気運が高まってきた.しかし血清に比べ,尿は著しく多くのプラスないしマイナスの干渉物質を含んでいるために,ある一つの物質と方法に限定することはできない.したがって,現在なお多くの問題点を含んでいて,未解決のものがほとんどであるが,検尿の際に用いられているないし用いられるであろう精度管理用物質(成績管理用物質)について,その一部を紹介しよう.
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