臨床検査の知識・4
検尿
石井 暢
1
1国立東京第一病院臨床検査科
pp.60-65
発行日 1957年5月1日
Published Date 1957/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201273
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はじめに
医学関係者は勿論,一般の人人も疾病に対する考え方が最近非常に変つて来ていることに気がつく.即ち,以前は何といつても治療医学が主であつたが,現今は予防医学或は疾病の早期発見,早期治療が保健の上に極めて大切であることが認識されてきたが,更に一歩進んで将来の健康についても予知せしめようと心掛けるようになつた.その著しい現われが所謂「人間ドック」である.この「人間ドック」における健康状態の判定には各科の綜合的診断は勿論大切であるが,就中重要な役割を演じているのが中央検査室で行われる「臨床検査」であつて,これを広く深く実施することによつて打聴診,触診などで,尚不明な時期の疾病の早期診断が可能となる.
臨床検査の内第一に実施されるのは何であろうか,又どんな小さな臨床検査室でも必ず実施されるものは何であろうか,それは「検尿」であつて,医師は勿論看護婦,助産婦,その他業務に携わるものは常識としてその正確な実施法,判定,それにより考えられる疾病などについて十分に正しい知識をもつていなければならない.これを正しく実施することによつて,例えば軽い腎炎,糖尿病などは殆んど確定的な診断が下される.又検尿を実施せずに腎炎,糖尿病などの診断を下すことは出来ない筈である.
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