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細胞の核質成分の抗原分析の進歩と抗核抗体
岩田 進
1
1日大板橋病院検査部
pp.238-239
発行日 1982年3月1日
Published Date 1982/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202459
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抗核抗体検査においてよく問題にされることに,使用する細胞核の種類により染色パターンが異なったり,同じ核材でも血清希釈倍数が異なると染色パターンが変化することがある.また同一患者血清でも核材によって陽性になったり陰性になったりする場合が時に存在することがある.これらの問題は,細胞核の成分の違い(処理上の差もあるが)と,患者血清中に存在する抗体の特異性の組み合わせで起こると考えられている.細胞は通常細胞質と核成分からなり,核成分はクロマチン成分,核質成分及び核小体成分とからなる.
クロマチン成分にはDNA,DNP,ヒストンなどの成分が含まれることが知られているが,核質は最近研究が進み,非常に多くの抗原分析がなされてきている.現在報告されているものの中で臨床的意義があるとされているものだけでも10〜12種に及んでいる.核質成分は,酸性核蛋白抗原とかENA(Extractable Nuclear Antigens;可溶性核抗原)で一括して論ぜられてきたが,細かい抗原分析が進み,臨床診断に用いられるようになってきた.すなわち,Sm抗原,Ku,Jo-1,SS-A,SS-B,Scl-1,Og,Ki,Mi,PM-1,RANA,Su,Ne,RNPなどが報告されている.
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