技術講座 血清
壁細胞抗体と内因子抗体
福田 守道
1
,
斎藤 甲斐之助
1
1札幌医科大学第四内科
pp.731-735
発行日 1981年9月1日
Published Date 1981/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202344
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慢性胃炎は日常の臨床でしばしば遭遇する疾患である.その発症にはいくつかの因子が関連を有すると考えられているが,いまだなんら確実に証明されたものはない.しかしながら近年ある種の胃炎,すなわち胃粘膜の萎縮を伴う顕症,あるいは潜在性の悪性貧血,慢性胃炎の進行例に胃の自己抗体である壁細胞抗体や内因子抗体が証明されることが知られ,慢性胃炎,悪性貧血の発症における自己免疫機序の関与の有無が注目を浴びつつある.
悪性貧血では内因子の産生が減少,消失し,内因子-B12複合体の形成が低下するため,回腸の受容体を経由する腸管B12吸収が高度に障害される結果,B12欠乏,そして巨赤芽球性貧血の発症に至ると考えられている.
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