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第3回日本血栓止血学会の印象
山中 學
1
1東大中検
pp.194
発行日 1981年2月1日
Published Date 1981/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202226
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第3回日本血栓止血学会が,昨年12月5〜6日の2日間,東京商工会議所で開催され,特別講演,シンポジウムと,114題の一般演題の発表が行われた.この学会は従来"血栓および止血に関する討議会"として昭和52年第6回を最後に,昭和53年から日本血栓止血学会と衣がえして,今年が第3回目であり,東京医大福武勝博教授のお世話で,昨年の神戸に引きつづいて東京で行われた.
極めて専門的な領域であるが,基礎から臨床各科にわたる血栓と止血をめぐる共通の話題を中心に,たいへん活発な討論がなされた.特別講演は米国ブラウン大学のバルディニ教授の"血小板輸血,最近の進歩と問題"と題した,血小板の分離法,保存,血小板濃縮製剤の精度管理,血小板輸血に対する同種免疫とその予防法,血小板輸血の適応などについての講演であり,短時間の血小板保存には22℃が最も適していること,22℃より上,また4℃への冷却は血小板の生物活性の低下を招くのでよくないと,従来の成績が再確認された.また血小板濃縮製剤を作っても,それが効くのか効かないのか,現在検査する方法がないが,臨床的に,輸注後の血小板数上昇,出血時間の短縮により有効であるとされるが,この精度管理を推進すべきときであると強調し,また新しく開発した免疫螢光分光測定法による血小板IgGの分析法は,血小板同種免疫の検出,同種免疫された患者に対して適応した血小板供給者のスクリーニングに有用であると述べた.我が国でも今後血小板輸血が増加すると思われるが,まさに時を得た内容であった.
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