検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
細胞診の自動分析の基礎理論
田中 昇
1,2
1千葉県がんセンター研究所
2日本大学
pp.138-144
発行日 1981年2月1日
Published Date 1981/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202212
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細胞診断自動化の発想と機種
1.スクリーニングないしプレスクリーニング
胃癌にしても子宮癌にしても,集団検診がそれらの癌による死亡率減少に大いに貢献していることは申すまでもない.政府は集団検診の見直しと充実を検討し,一定以上の年齢層に対し,公費による集団検診を計画している.子宮癌,肺癌の集団検診には細胞診が重要なスクリーニングの方策に採用されており,その高い価値が評価されている.現在では細胞診スタッフ(細胞診医とスクリーナー)の数と細胞診検体との間でバランスがとれているが,前述のごとき構想で,特に子宮癌検診が展開されると,現在,施設検診を含めて年間約350万件程度と推定されているが,その件数は恐らく,1,000万件に達するであろうと推測されている.
一方,細胞診スタッフには高い精度が要求されており,したがって期待をにないうるスタッフは短期間に簡単には養成できない.そこで,集団検診にあっては大部分が陰性であるので(集団検診で子宮癌の発見される割合は0.1〜0.3%程度),陰性例を自動化装置によってできる限り除外し,装置が異常と判断した検体(症例)について,スクリーナーや細胞診医が直接顕微鏡によって診定すれば,大量の検体を限られた人数のスタッフで処理可能であろうというのが自動化の発想の一つである.
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