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従来,血清CRP(C反応性蛋白)は正常では(-)で,急性炎症や組織の崩壊があれば流血中に現れる,つまり,CRPは炎症や組織の崩壊の結果であり,CRPが何らかの生理作用を持っているなどとは想像もしなかった.それは,新鮮血清を用い毛細管沈降法によって測定している限り事実である.しかし,ラジオイムノアッセイ法やレーザーイムノアッセイ法などによれば,正常血清中にもCRPが微量存在することが明らかとなり,炎症や組織の崩壊で増量するのであれば,CRPも何か生理的な作用を持っているはずである.事実,CRPは多糖類,レシチン,スフィンゴミエリン,プロタミン,ポリカチオンなどいろいろのphosphoryl choline containing compoundsとよく結合する性質があることが証明され,具体的には,ヒトの好中球の細菌に対する貪食作用を,CRPは促進する(phagocytosis promoting factor)とか,補体系のclassical pathwayを活性化するとか,血小板機能を抑制するとか,T細胞の機能を調節して生体防御に重要な役割を果たしているとか,またある人はカタラーゼの前躯物質ではないかと推定しているものもあるが,何らかの意味で生体防御に一役かっていることは事実である.
また,最近,CRPはSAP(Serum Amyloid P Component;血清中に出現するAmyloidのPConponent蛋白のこと)とアミノ酸配列や構造がほとんど同じであり,しかも両者ともCa2+依存蛋白であることも似ている.原発性アミロイドーシスのアミロイドの前駆物質が免疫グロブリンのL鎖とSAPであるとも言われているのでCryoglobulinemia Immune Complex disease,アミロイドーシスなど生体防御の結果できたような境界領域の疾患の成因にもCRPは関係しているかもしれない.
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