トピックス
潜血の血清学的検出法
山中 學
pp.584
発行日 1979年7月1日
Published Date 1979/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201881
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糞便の潜血反応は,依然として臨床検査室で不可欠な検査である.潜血反応は赤血球のヘムのペルオキシダーゼ作用を利用したものである.従来行われていたベンチジンを用いる方法では,摂取された動物性あるいは植物性ペルオキシダーゼ,またはペルオキシダーゼ様物質で偽陽性を示す.更に本反応を陽性化するものに還元鉄,銅,ビスマス,ヨード,ブロム剤,ラキサトール,クロロフィル,ビタミンCなどの薬剤がある.そこで,潜血食と言って,数日前から,生や半焼の獣魚肉をとらないようにし,偽陽性の頻度を減らそうとする工夫がされた.ベンチジンでは消化管内に3〜5mlの出血で陽性を呈する.
51Crで標識した自己赤血球を用いた実験では,1日の便中に2〜4mlの血液が失われているとされ,これを越えたときに,病的な潜血として検出されるわけであるが,ベンチジンはこの点極めて鋭敏である.赤血球以外にペルオキシダーゼを含む白血球や血小板も,出血と同時に便中に混入すれば,ベンチジン反応を陽性にする可能性を否定できないし,ペルオキシダーゼは血清中にも微量ながら含まれていると言う.しかし通常の酢酸により酢酸ヘマチンとする潜血反応では,カタラーゼの至適pH7〜8からみて,ほとんど影響されないと考えられる.
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