簡易臨床検査のやり方と評価
潜血反応について
林 康之
1
1順大臨床病理
pp.972
発行日 1964年10月10日
Published Date 1964/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200493
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潜血反応は非常に簡易化され,ほとんど検査設備を要せず,また実施時にそれほど不潔さも感ぜずにできるようになつた。簡易法の市販製品を見ると源紙に試薬を塗布したもの(ヘモペーパー,ヘマスティックス,シノテスト1号)錠剤の形にしたもの(ヘマテスト),アンプルに封入したもの(シノテスト4号法)など多種類である。ところがこれら簡易法はその主剤としてすべてベンチジンまたはオルトトリジンを用いているにもかかわらず,その鋭敏度に多少のくい違いを示すことに注意せねばならない。もともとこれらの試薬は酸化されやすく,純度が高くしかも安定に保存することは非常に困難であり,鋭敏度について市販品を絶対的に信頼することは無理である。したがつてつねに陰性対照を作つておいて検俸と比較することが望ましい。また潜血反応自体が血色素のベルオキシダーゼ作用を応用した間接的な方法であり,偽陽性を示す条件はかなり多く,前記簡易法も使用前に適当な感度であるか否かを確かめることができればもつともよい。さらに簡易法試薬の保存は,もつとも注意しなければならぬ点で,湿気と直射日光は絶対に避けるべきである。たとえばベンチジン濾紙を自製した場合に,作製後毎日同一検体でチェックしてみると,ふつうにシャーレまたは箱に入れ,放置しておくと,気候その他の条件で異なるが約1週間から3週間で偽陽性が非常に多くなり,そのうえ変色によつて判定しがたくなることから明らかである。
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