技術講座 一般
胆石の分析—特に赤外線吸収スペクトル法を中心として
池田 清子
1
1東京慈恵会医科大学病院中央検査部
pp.490-494
発行日 1979年6月1日
Published Date 1979/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201858
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従来,日本人の胆石に関してはビリルビン系結石が主で,その部位の多くは胆道であった.欧米人にはコレステロール系結石が多く見られ,これは胆嚢内結石である点と異なっていた.しかし,この日本人胆石の特徴も戦後の食生活の変化に伴って著しく変化し,近年では欧米人の胆石症と類似してきている1).
胆石症の成分と臨床像との関係では,一般にコレステロール石は疼痛が主症状であり,一方,ビリルビン石の多くは胆管内にあることにより腹痛とともに,黄疸,発熱という,いわゆる3主徴を呈することが多く,しかも肝内胆管にも高頻度に存在するため難治性であり,かつ再発の可能性が大きい.コレステロール石は経口胆嚢造影法により,陰影像としてしばしば発見されるが,胆道結石は点滴静注法もしくは内視鏡的逆行性胆道膵管造影法などの特殊な方法を用いないと造影されにくい.
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