コーヒーブレイク
縁の話
N. T.
pp.64
発行日 1979年1月1日
Published Date 1979/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201773
- 有料閲覧
- 文献概要
女性は一般に"縁"という言葉が好きです."縁があってこの方と結ばれた"とか,縁というものを常に気にしているように思われます."袖すり合うも他生の縁","縁は異なもの味なもの","つまづく石も縁のはし","合縁奇縁","縁起が良い","縁と浮き世は末を待て"など多くのことわざが日常生活に融け込んでいますが,"縁"の内容は何んとなく使っていてあいまいではありませんか?
縁は仏教語(梵語)で,因と果の間を取りもつ言葉です.人間にもたらされたその状態は決して偶然のことではなく,すべて前世からの定め,すなわち,前世の善悪のために生じた業(ごう)によって生じる因が,この縁の助けで現世の果が生ずるというものです.つまり現世に良いことをすれば末世で良いことがあり,悪いことをすれば悪いことになるという因果応報の仲立ちをするのが縁というわけです.人の運の不思議さを思うと,現在のような無味乾燥した社会でもやはりこうした定めのようなものがあるように思われます.英語にも"君は我が運命"という歌があります.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.