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Klebsiellaは莢膜を持つ無鞭毛菌であるので,その抗原は莢膜(K)と菌体(O)抗原に分けられる.Klebsiellaの血清型別は,K,O両抗原について実施されるべきであるが,現在,K抗原について施行されているだけである.K抗原は,その数が豊富で菌種ならびに疾患との間にある特異性がみられるので臨床的,疫学的研究に有用なものである.一方,O抗原は,今のところ菌種や疾患との間に特異性が乏しいと考えられており,また無莢膜変異菌を得ることが困難なことから,ほとんど臨床的にも疫学的にも用いられていない.更に,O抗原はK抗原に比べて数がはるかに少ない.このような理由から,K抗原に基づいて菌株を区分するのが最も応用範囲の広い実用的な方法と言える.
我々は,5年前より急性白血病の経過中に合併してくる敗血症の原因菌の由来を患者の常在菌叢の変化に焦点を合わせて調査している.この際,原因菌と菌叢内の同種菌の同一性を論ずるうえに,どうしても抗原構造の決定の必要に迫られる.当時,Klebsiellaの抗血清はK血清1〜6がDifcoから市販されていただけで,これに対応する株は120株中1株にすぎず,全く役に立たなかった.重症基礎疾患に合併する弱毒菌感染症の原因菌としてのKlebsiellaには,一般呼吸器感染症におけるような血清型の特異性に言及した報告のないことから当然のことかもしれない.また,最近では,合成ペニシリンの開発・導入が進み,それによる菌交代症としてのKlebsiella感染症が急速に増加の一途をたどってきている.このような状況にあって,約80種(現在,81種)のK抗原を対象とするよりも,現在までの報告で12種と数少ないO抗原に対する抗血清を自家作製して群別すれば費用と時間の節約になるだろうと考え,早速着手したわけである.
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