測定法の基礎理論 なぜこうなるの?
血液凝固検査の終末点
福武 勝博
1
,
加藤 正俊
1
1東京医科大学臨床病理
pp.199-204
発行日 1978年3月1日
Published Date 1978/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201574
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出血性素因,血栓症及びDICなどの病態生理は血液凝固・線溶機序の解明に伴いしだいに明らかにされてきた.それに従って凝固・線溶の検査が重要視されるようになり,今日ではどこの検査室でも項目数は別として諸種の凝血検査が導入され,年々検査件数も増加傾向をたどっている.従来の凝血検査は主として試験管内で連続的な酵素反応の過程を経て得られる結果を凝固開始よりフィブリンの析出するまでの時間として測定することが基本となっており,一見単純にみられるフィブリン糸の析出が反応の終末点となっている.また線溶の検査ではフィブリンあるいは凝固させたユーグロブリン分画が被検体に含まれるプラスミンによって溶解する状態を観察し,フィブリンの溶解による透明化を終末点としている.しかし最近のタンパク質の分離精製技術の進歩に伴い免疫学的な方法や分光学的な測定法などが導入されるに至り,従来のフィブリン塊の変化による終末点から異なった終末点の取り方へと変わりつつある.本稿ではⅧ因子,線溶の検査を除いて,一般的な血液凝固検査の終末点について概説する.
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