測定法の基礎理論 なぜこうなるの?
血球の固定・染色という操作の意味
日野 志郎
1
1東京逓信病院内科
pp.93-96
発行日 1977年2月1日
Published Date 1977/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201271
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.血球の形と構造の観察
電子顕微鏡が細胞の微細構造を解明する手段として実用的になった1950年ごろまでは,血球の形を捕らえるのに光学顕微鏡が唯一の道具であったし,それが血液学的検査の基本になることは現在も変わりがない.
血球の中で赤血球と血小板は比較的簡単な構造を持ち,それぞれ単一の集団を形成しているが,白血球は例外である.Ehrlichは1877年以降,多くの色素を使って白血球を染め分ける研究をした結果,白血球の分類が可能になり,1891年に著書とした.この年にRomanowskyはエオジンとメチレン青の混合液にアズールが生ずるのを知り,新しい染色法を確立した.これに多少の改変を加えたのがGiemsa染色(1902年)やWright染色(1902年)で,Pappaenheim染色(1911年)に至ってほぼ完成した.これらを総称してRomanowsky染色と言うことがあるが,この論文では"普通染色"と表現することにする.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.