グラフ
螢光染色による赤血球の検査
小机 弘之
1
1慈恵医大衛生
pp.654-655
発行日 1965年5月10日
Published Date 1965/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200807
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血液標本を螢光色素で染めると,白血球と栓球は螢光顕微鏡下で容易に螢光を放つが、正常の成熱赤血球はほとんど光らない。ところが貧血や中毒など異常のある場合の赤血球には,特有の螢光像を現わすものがある。螢光赤血球は古くより知られ(Keller & Seggel,1934),その螢光はポルフィリンの固有螢光に由来する。さらに.適当な螢光染色法を用いれば,網状赤血球1),2),3)好塩基点赤血球4),Heinz小体5)(芳香族ニトロおよびアミド化合物中毒で赤血球に出現する)などの検出が容易にできる。それらの手技はすこぶる簡単で,しかも検出能率ははなはだ高い。
螢光顕微鏡装置としては、まず強力な光源が必要で,これに青紫色系ガラスフィルターをかけ,顕微鏡では明視野集光器を用い,接眼フィルターには濃黄色系ガラスフィルターを用いる。油浸および標本の封入には最純流動パラフィンがよい。このようにして青紫色の半明視野で鏡検すれば,暗い正常赤血球もともに観察できるので,血球の計数にも便利である。
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