技術講座 一般
尿検査・4—ビリルビン
長岡 文
1
1東京文化医学技術学校
pp.684-685
発行日 1976年9月1日
Published Date 1976/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201160
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尿中ヘビリルビンが出るのは,肝細胞性の疾患あるいは胆道閉塞のあることを表している.ビリルビン尿はこれら疾患の初期より現れるから肝胆道疾患の診断,治療経過の観察にはビリルビン検査が重要な役割を持っている.
ビリルビンは赤血球の崩壊により生じたヘモグロビンの"ヘム色素"より作られ,アルブミンと結合して肝臓に送られ,肝においてグルクロン酸と抱合体を作り胆汁中に入り腸へ排泄される.肝へ入る前の血中のビリルビンを"間接ビリルビン"と言い,肝で抱合体となったビリルビンを"直接ビリルビン"と言う.血中の直接ビリルビンは腎を経て尿中に排泄される.健康者の血中の主なビリルビンは間接型であり直接ビリルビンは少ないので,尿中にはごく少量(約0.02mg/dl)のビリルビンが出るに過ぎず,この量では通常用いられる検査法では検出できない.
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