おかしな検査データ
5月号出題の答
北村 元仕
1
1虎の門病院生化学科
pp.612
発行日 1976年8月1日
Published Date 1976/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201134
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チモール試薬のpHをpHメーターで測定してみたところ,3.4であった.規定のpHは7.55±0.03.ふだんこのpHから外れることがほとんどないので,pHのチェックを怠ったことがミスにつながった.しかし,どうしてpHが狂ったのか.
試薬が間違っていたのである.チモール試薬は,バルビタールとそのナトリウム塩とチモールで作る.バルビタールの化学名はジエチルバルビツール酸である.バルビタールを請求する時に,勘違いをして"バルビツール酸(特級)"と書いてしまったのである.ちなみに,このような試薬でも同じような混濁を生ずるが,その値はチモール混濁試験とはほとんど関係のない低値になってしまっていた.すなわち患者血清では,プール血清の値よりも更に収拾のつかない誤差が発生していたのである.
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