ひとこと
医療における専門職
屋形 稔
1
,
稲生 富三
2
,
芹田 馨
3
,
高橋 芳郎
4
1新潟大,中検部
2社会保険中京病院検査部
3北海道立衛生学院
4近畿大病院中検
pp.388-389
発行日 1976年5月1日
Published Date 1976/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201067
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■この課題については,現在ある姿と将来あるべき姿とは異なっていても当然であるし,混同すべきでない.単純に,検査技師は技術をもって職分とするものであるから専門職であるという立場に立てば,現在でも十分に専門職として活躍していると見なすことができる,原則としては,医師の指導監督を受けているから,限界をもった専門職ではあるが,technologyを専門とし,ある部分に関してはほとんど委任されて臨床検査を実際に行い,診断に関する重要な情報の精度を高め,これを提供する立場にあるから,検査技師を医療の専門職と呼ばずして何を呼ぼうかということもできる.
しかし,更に視点を変えて現在の姿をながめてみると,ルーチンの仕事を忠実に遂行するオペレーターであり,山積する検体を機械的にさばくチャップリンのモダンタイムスの職工的存在である限り,果たして技師を専門職と呼ぶべきかという疑問も当然わいてこざるを得ない.人命を預り,技術のほかに批判の能力も併せ持たねばならない医師からすると,単なる技術屋とか医療補助員として遇されてもやむを得ない点がある.この姿はせっかく薬学を学びながら単に薬剤師として包薬のみに従事する立場にも似ているようである.
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