測定法の基礎理論 なぜこうなるの?
緒方法
鈴田 達男
1
,
岩倉 伸子
2
,
菅原 ひで
2
,
清水 彩子
2
,
秋山 恒子
2
1東京医大血清学
2東京医大病院中検
pp.249-252
発行日 1976年4月1日
Published Date 1976/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201026
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1.抗原希釈液
抗原希釈液は,希釈後1時間くらいたったものを使うのがよいとされているが,それはなぜか
緒方法の抗原の組成は,カルジオライピン0.01%,レシチン0.04%,コレステリン0.2%を無水アルコールに溶かしたものである.これらのうち前2者は抗原特異性を左右し,後者が感度に影響を与える.抗原浮遊液を作製する時には,このアルコール溶液を食塩水に混じて脂質の細かな懸濁液を作るが,懸濁液を形成する粒子の大きさが,反応の鋭敏度に重大な関係を持っている.すなわちコレステリンは反応を敏感にする目的で加えられるが,粒子の大きさに最も影響を与えるのはこのコレステリンである.
リポイドはアルコールに溶け水に溶けないので,上記の抗原(アルコール溶液)を水に加えると,コレステリンを核として析出する.その大きさを一次的に支配するのは,食塩水対アルコール溶液の割合と混ずる速さであるが,これらが一定であっても混合してからの時間によって,粒子の大きさはしだいに変わってくる.そのわけは,析出したばかりのコレステリン粒子は非常に不安定なので,不安定な粒子同志が結合して,より大きな安定したミセルを形成するようになるからである.これを抗原の成熟と呼んでいる.この状態が粒子として最も安定し,また抗体と結合した時に最大の補体を結合する.
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