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新大病院では,付属臨床検査技師学校から20名ほどの実習生を受け入れている.期間は10月から2月まで,2人1組で各検査室を回る.私が5年前に実習した時は7月からであったので,10週余り短くなっている.期間が短縮された理由としては,年々検査件数が増大し,実習生を指導する時間的余裕がないこと,技師が若く経験も浅く実習生を教える自信がなく煩わしいと思っている人が少なくないこと,また,学校が2年制から3年制に移行し実習時間にゆとりができ,実習設備も整ってきてかなり実習内容が充実してきたこと,などがあげられる.
学校実習と病院実習の違いは,学校では知識と技術(単に測定手技)の修得のみで,与えられた検体(プール血清など)を,教えられた手順で処理し成績を出してみるのが主体で行われているのに対し,病院実習は患者が中心であることである.特に生理機能検査では直接患者を扱うので,患者を無視して検査をしても,データは全く診療に役立たないばかりでなく誤診の危険さえある.患者に接するに当たっては,実習生であるという安易な考えは捨て,自らの言動に必要以上の気を配ることが大切である,生化学検査においても同様,患者の貴重な検体を微量,正確,迅速に処理し,データを提供する.これらのことを実際に経験し,臨床検査の立場,重要性を理解し,臨床検査技師の使命,責任,倫理などを自覚してもらいたい.
私の所属する臨床化学検査室では現在17日割り当てられている.始めに,主任教官が生化学検査全般の講義,微量ピペットの検定,精度管理,正常値などの総論を行う.その後,各項目の担当技師が実習を進めていく.実習をより確かなものにするため,レポートを提出させている.レポートの内容は,実習内容のほかに,気のついたこと,注意点,疑問点,教科書にない検査のコッを特に記述するよう指導している.
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