病気のはなし
肝癌
遠藤 康夫
1
1東大第1内科
pp.6-10
発行日 1976年1月1日
Published Date 1976/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200955
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肝癌の分類
肝癌は原発性肝癌と転移性肝癌とに分けられる.前者は肝臓自体から生ずるもので,後者は身体の他の部分に原発巣があって,肝臓に転移を起こしたもので,この際の原発巣として多いのは,胃,膵,腸管などの消化器と肺などである.
肝腫が発見された場合にはまずそれが良性のものか,悪性のものかを鑑別する必要がある.脂肪肝,うっ血肝などでも大きくなった肝が触れるようになるが,最も問題なのは肝硬変で,この際にはかなり固い肝が触れるようになる.しかし,なによりも肝硬変の際に肝癌を合併していることが日本では多い.次いで,悪性のものでは肝癌が最も多いが,原発性か転移性(続発性)かが問題になる.外国では転移性肝癌が圧倒的に多いが,日本での両者の差はあまり大きくない.従って肝癌が疑われる場合には,原発巣と考えられる所を徹底的に検索することが必要であるが,同時に原発性肝癌の可能性も考慮しておくことが必要となる.ここでは原発性肝癌について述べる.
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