技術講座 生化学
臨床化学検査の準備の進め方あれこれ
野本 昭三
1
1信大病院中検
pp.60-61
発行日 1975年3月1日
Published Date 1975/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200738
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臨床検査の勉強をしている学生またはすでに臨床検査に携っている人と話をしていて,"ある化学検査,例えば,血糖の定量分析の準備をするように依頼されたとしたら,どんな順序で進めますか"と聞いてみることがある.
まず第1のステップは,臨床的に役に立つためにはその項目についてどれだけの精度(と迅速性)が要求されているかを確かめる(許容誤差の設定).第2は,いろいろな文献を調べて精確度,精密度,微量性,迅速性(簡易性)などいわゆる臨床化学分析の性格に適合するものを選び出し,具体的に試薬,器具,計測器などをそろえる.このステップでは手持ちの計測器,試薬からの制約も考慮に入れる.第3は,選び出した測定法について,その操作過程の要点(精度を維持するうえで重要なポイント)を知るために各操作段階の吟味をし,必要に応じて幾分の変更も加える.そのうえで第1のステップで定めた精確度(accuracy),精密度(precision)の規準に添うものであるかどうかを検討して一応の準備を終える,というのが期待する解答であるが,要を得た解答に接することは案外に少ない.とりわけ第1のステップと,第3のステップの前半,すなわち操作の要点を把握する過程を欠いている場合が多い.今回はこれらのことを中心にあれこれ述べて見たい.
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