検査の苦労ばなし
細菌検査あれこれ
清水 文彦
1
1東京医科歯科大・微生物
pp.470-471
発行日 1977年6月1日
Published Date 1977/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201386
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昭和1けたの終わるころ,川崎で水道汚染によると思われる赤痢の流行があった.大至急に極めて多数の検便を行う必要が起こったが,その時代には今の保健所のような施設はなく,警視庁の防疫課が帝都の防疫を一手に引き受けていた時代であった.有名な井口乗海課長のもとに,有能な技師がそろっていたとはいっても,たかだか数名では到底手におえる仕事ではない.そこで伝染病研究所(通称伝研,今の医科学研究所)がお手伝いすることになった.
当時の伝研は,第1から第8細菌部まで,各々数種の細菌を分担していて,その研究菌株の保存,免疫血清の製造とその検定,その他の責任を負わされていた.そのほか検査部,ワクチン室,洗い場,通称厩あるいは採血といった血清製造の実務をやるところなどがあって作業を行っていた.
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