技術講座 一般
尿沈渣における結晶・塩類成分の分類と鑑別
稲垣 勇夫
1
1木曽川病院検査科
pp.167-173
発行日 1981年2月1日
Published Date 1981/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202218
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尿中結晶・塩類成分は通常,摂取した食事や体内の塩類代謝などに依存して尿中に排泄され,尿中の含有濃度及び尿のpHや温度の変化などによって尿中に析出してくるものである.この結晶・塩類成分は健康人尿においてしばしばみられるものであり,臨床的意義は少ないと考えられている.
しかし,尿中に出現することは非常に少ないがアミノ酸結晶は重症の肝疾患や先天性代謝異常症,サルファ剤などの薬物結晶は薬物結石の存在を疑うことができるし,また尿路結石の既往がある場合は尿pHとともに尿中結晶・塩類成分の存在が,予後や治療に重要な指標となることがあるので,尿沈渣のよりよい結果を出すためにも尿沈渣中の一成分として,結晶・塩類成分の特徴を知り,正しく鑑別して報告すべきである.
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