技術講座 病理
膵ラ氏島細胞(A, B, D)の染色
鬼頭 花枝
1
1愛知県がんセンター研究所
pp.66-67
発行日 1974年3月1日
Published Date 1974/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200406
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膵臓のランゲルハンス島には,血糖上昇作用のあるグルカゴンを分泌すると考えられるA細胞(α)と,逆に低血糖作用のあるインスリンを分泌するB細胞(β)のほかにD細胞(δ)があるが,これは胃酸分泌因子としてのガストリンを貯蔵分泌すると推測されていたが,詳細は現在なお不明である.これらの内分泌細胞を染め分けることによって,糖尿病,低血糖症,その他の膵島に病変を持つ代謝異常疾患の形態的な観察が可能となる.
膵島細胞の内分泌顆粒を染色するには,新鮮材料を染色に応じた固定液によく浸透するように3mm以内に切り出し,振盪して迅速に固定することが肝要である.しかし,通常の病理組織検査材料はホルマリン固定のものが大多数であるので,ここでは再固定および分別方法あるいは銀染色の取り扱い方などを考慮に入れて,十分形態的観察に耐えられる染色標本作製の要点を述べてみたいと思う.なお,腫瘍を染色する場合は,必ず正常膵ラ氏島を持った膵臓標本を対照として同時に染色する.
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