技術講座 細菌
細菌の培養法・2
小栗 豊子
1
1順大病院中検
pp.64-65
発行日 1974年1月1日
Published Date 1974/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200353
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前回は分離培養法ならびに集落の観察の要点について述べたが,今回はそれに続いて行なわれる釣菌の操作を中心に解説する.細菌学では分離培養によりカンテン培地上に生じた孤立集落(他の集落との融合していない独立した集落)は,1個の細菌細胞が分裂増殖して目に見える1つの菌集団(集落,colony)を形成したものであるとの考えが基本となっている.しかし実際には同一種類の菌を2個以上1点に接種しても同様の集落が形成されるが,分離培地上の孤立集落は純粋な1種類の細菌集団として扱うことがならわしになっている.したがって材料中に含まれる種々の菌の同定(菌の種々の性質を調べることによりその菌の種類を決定すること)は,性質を異にする孤立集落のおのおのについて,その一部分を釣菌(火炎滅菌後冷却させた白金線の先端で集落に触れ,菌を採取する操作)して,その性質を調べることにより行なわれる.
釣菌に先だってはまず集落の観察を注意深く行なわなければならない.
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