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肺のしくみと働き
呼吸をつかさどる器官を呼吸器と呼んでいますが,鼻腔に始まり,喉頭,気管,気管支および肺が含まれています.そして肺は右の3葉と左の2葉に分かれています.鼻腔から鼻咽頭までは上気道とされ,喉頭以下が下気道と呼ばれています.下気道では気管は左右の気管支に分かれ,各気管支は肺の中で木の枝のように分枝を重ね,末梢では細気管支となって,終末気管支から呼吸細気管支となり,さらに肺胞道から肺胞嚢がつながり,枝に葉がついてるように,肺胞といわれる小さい袋がついています.呼吸細気管支以下が呼吸に関与しており,肺胞の数は全肺で約3億といわれています.肺胞の回りには,心臓からきた肺動脈の末梢である毛細血管が,網の目のように取り囲んでいます.
肺における呼吸には,肋間筋や横隔膜などの呼吸筋が関与しており,肋間筋は胸郭を動かし,横隔膜はその上下運動を行なっていますが,横隔膜は特に呼吸運動の65%を受け持っていて重要な役割をもっています.すなわち,胸郭が横に広がり,横隔膜が下がる時に吸気が行なわれ,鼻腔から空気が肺胞内にはいり肺胞がふくらんできます.次にその逆の運動によって呼気が行なわれます.肺胞がふくらむと,その回りを取り囲んでいる毛細血管の中の血液と肺胞内の空気が接触し,拡散といわれる現象によってガス交換が行なわれます.すなわち,血液中の赤血球に含まれているヘモグロビンが空気中の酸素を取り込んで酸化ヘモグロビンとなり,肺静脈を通じて心臓にもどり,大動脈から全身に流れ,全身の組織に酸素を供給します(内呼吸).一方,静脈系によって全身から運ばれてきた炭酸ガスは,呼気によって体外に排出されます.この炭酸ガスは腎臓からも排泄されます.
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