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小児悪性腫瘍の概説
表1に示すように,小児悪性腫瘍の約1/3は白血病で,残りが固形腫瘍であり,固形腫瘍のなかでは中枢神経系腫瘍が最も多く,リンパ腫・神経芽腫群腫瘍・軟部組織肉腫などがこれに続く1).小児に固有な,あるいは圧倒的に多い腫瘍として,神経芽腫(neuroblastoma:NBL)・網膜芽腫・肝芽腫・腎芽腫・髄芽腫(中枢神経系腫瘍の1つ)など,胎児の組織に類似した形態や特性をもつ,いわゆる胎児性腫瘍を中心に,先天性(congenital)・乳児性(infantile)・若年性(juvenile)といった形容詞を冠した腫瘍など,種類の上からは相当数の腫瘍が挙げられる.特に胎児性腫瘍は,小児に固有な,あるいは圧倒的に多い腫瘍として,小児腫瘍の一般的なイメージを形成するものといえるが,これらの腫瘍が小児腫瘍全体に占める割合が特別に高いわけではない.一見,白血病・中枢神経系腫瘍・軟部組織肉腫・悪性リンパ腫など,成人でもある程度の数を占める腫瘍が大半を占めるようにみえるが,こうした腫瘍にしても,その内容は成人と小児とで大きく異なる.
また,小児腫瘍とまとめていわれることが多いが,0〜1歳・2〜4歳・5〜9歳・10〜14歳の4年齢層に分けると,各年齢層で各腫瘍群の発生頻度がかなり異なる.また,各腫瘍群を構成するそれぞれの腫瘍で,好発年齢や発生部位がある程度限定され,診断の重要なヒントになる.NBL・腎芽腫・網膜芽腫・肝芽腫など,代表的な小児悪性固形腫瘍は5歳未満に多くみられ,10歳以降は成人型,つまり悪性上皮性腫瘍(癌)主体の構成へと移行していく.よって,10〜14歳では,癌を主体に“その他”に属するものが多くなっている.
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