トピックス
臨床微生物学領域におけるMALDI-TOF MS応用の可能性
永沢 善三
1
1国際医療福祉大学 福岡保健医療学部 医学検査学科
pp.1364-1369
発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200031
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微生物分類の変遷
近代細菌学の開祖とされるRobert Koch(1843〜1910)は,染色方法の改善や寒天培地を利用した細菌培養法の基礎を確立し,この手技・手法によって微生物学の分類が始まった.その後,微生物学研究の進歩に伴い対象とする菌種の同定が増えるに従い,多くの基質に対する生物学・酵素学的反応を利用した同定キットや自動同定機器が幅広く普及している.1980年代からは16S rDNA(16S ribosomal DNA)の配列に基づく分子進化学的な系統分類の手法によって,新たな菌種による感染症の報告が次々となされるようになった.そして,現在はポストゲノム解析の時代を迎え,質量分析を用いた菌種同定が数分以内で実施可能となり,臨床微生物学での同定検査は新しい時代を再び迎えはじめた.
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