増刊号 超音波×病理 対比アトラス
3章 甲状腺・副甲状腺
10 高細胞型乳頭癌の穿刺経路再発―60歳代女性
廣川 満良
1
,
樋口 観世子
2
,
久保田 真理子
2
1隈病院病理診断科
2隈病院臨床検査科
pp.1002-1004
発行日 2014年9月15日
Published Date 2014/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543104430
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症例の概要
60歳代,女性.約半年前,右頸部腫瘤を自覚し,他院にて甲状腺乳頭癌と診断後,当院にて甲状腺全摘術と右頸部リンパ節郭清が行われた.乳頭癌は高細胞型で,胸鎖乳突筋および輪状甲状筋に浸潤していた.2年後,右頸部皮下に結節性病変が出現したため再診した.血液生化学検査では,遊離サイロキシン(FT4):1.23(0.7~1.6)ng/dL,甲状腺刺激ホルモン(TSH):0.996(0.3~5.0)μIU/mL,サイログロブリン:<0.5(0~35)ng/mL,抗サイログロブリン抗体(TgAb):376.4(0~39.9)IU/mLであった.超音波検査では,右頸部皮下に5×4×4mm大の,形状やや不整で,内部均質な充実性結節が観察された.ドプラ法では,結節内に血流シグナルは観察されなかった.皮下結節の穿刺吸引細胞診が行われ,乳頭癌と診断された.塗抹後の穿刺針を0.5mLの生理食塩水で洗浄した検体のサイログロブリン値は31.2ng/mLであった.穿刺経路再発の診断にて皮下結節の摘出術が施行された.
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