増刊号 超音波×病理 対比アトラス
2章 乳腺
1 浸潤性乳管癌(硬癌)―50歳代女性
森谷 卓也
1
,
中島 一毅
2
1川崎医科大学病理学2
2川崎医科大学総合外科学
pp.928-930
発行日 2014年9月15日
Published Date 2014/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543104405
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症例の概要
50歳代,女性.マンモグラフィ検診で“構築の乱れ”を指摘され,要精査となった.来院時,乳頭陥凹を伴う腫瘤を認めた.乳房超音波検査では乳管,周囲組織を引き込むような構築の乱れを伴う低エコー腫瘤で,内部には壊死型石灰化が疑われる微細点状エコーも認められ,硬癌が最も疑われた→図1,2.エコーガイド下の細胞診では異型乳管上皮が出現しており陽性(乳管癌)→図3,針生検で浸潤性乳管癌の診断が得られた.超音波画像から,乳頭乳輪への進展が強く疑われる乳癌と判断し,乳房切除術が実施された.
摘出標本では,既存の乳腺実質と比べると透明感を伴う境界不明瞭・不整形の腫瘍で,脂肪組織を巻き込むように増殖を示していた→図4.組織学的には,間質の膠原線維の増生を伴う不整形の腫瘤で→図5,索状の癌胞巣が浸潤増殖を示した→図6.肉眼像における腫瘍中心部の白色調組織は,膠原線維の増多を反映している可能性が推測された.診断は浸潤性乳管癌・硬癌,腫瘍径(浸潤径)25×12mm,核グレード(乳癌取扱い規約)1,組織学的悪性度〔ノッティンガム(Nottingham)〕1,リンパ管侵襲陽性,静脈侵襲なし,エストロゲン受容体陽性,プロゲステロン受容体陰性,HER2陰性,センチネルリンパ節転移陰性(0/4),TNM分類はpT2,pN0,pM0,臨床病期ⅡAであった.
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