技術講座 生理
シリーズ 血流を診る・3
MRI―血流解析方法の基本
宮崎 翔平
1,3
,
板谷 慶一
1,2
,
宮地 鑑
1,2
1北里大学医学部血流解析学講座
2北里大学医学部心臓血管外科
3早稲田大学先端生命医科学センター
pp.1218-1223
発行日 2013年12月1日
Published Date 2013/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543104110
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新しい知見
核磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging,MRI)は近年,3テスラ装置の登場など,装置の性能の向上によって高画質な画像が短時間で撮影できるようになった.それに伴って,心臓MRIでは,心室容積変化を計測するシネMRI,心筋のバイアビリティを可視化する心筋遅延造影MRI,局所的な壁運動を定量評価するタギングMRIなどで高度な心機能評価が可能となり,心疾患の診断において強力なツールとなっている.そのなかでも,位相コントラスト法(phase contrast-magnetic resonance imaging,PC-MRI)を用いた血流可視化手法が注目を集めている.PC-MRIは一般的に血管断面の通過流量の計測や弁逆流の測定に用いられる撮影法であるが,この撮影法を応用することで心臓大血管の血流をベクトルや流線などで視覚的にわかりやすく可視化することが可能である.さらに,この手法を3次元領域に拡大して3次元の血流速度分布を連続する時相で撮影する,PC-MRI(以下,4D-MRI)を利用できる装置が徐々に普及し始めている.ダイナミックな心臓大血管の拍動血流の動画のみならず,壁ずり応力(shear stress)といった指標も定量的に取得されるようになり,循環器診療において新たな展望がもたらされることが期待されている.
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