病気のはなし
甲状腺髄様癌
近藤 哲夫
1
,
中澤 匡男
1
,
加藤 良平
1
1山梨大学医学部人体病理学
pp.640-645
発行日 2013年8月1日
Published Date 2013/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103994
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サマリー
甲状腺髄様癌(medullary carcinoma)はカルシトニンを産生するC細胞(傍濾胞細胞)を由来とする悪性腫瘍であり,わが国では甲状腺癌全体の約1~2%を占める比較的まれな腫瘍である.髄様癌細胞はカルシトニンや癌胎児性抗原(carcinoembryonic antigen, CEA)を分泌し,しばしば腫瘍内にアミロイドが沈着すること,多彩な病型からなる遺伝性髄様癌が存在することなど,濾胞上皮由来の甲状腺腫瘍とは異なる病態病理,臨床所見を呈する.診断には触診,超音波検査に加えて,穿刺吸引細胞診,血中のカルシトニンやCEAの測定が行われる.治療は手術療法が第1選択であるが,術前の治療方針の決定にはRET遺伝子検査が重要となっている.
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