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臨床検査は,もともと主治医自らの手で実施され検査項目も限られていたが,検査の拡大とともに技師に業務を委ねられるようになった.この間,60年余りであるが,新しい検査方法,検査項目,検査機器が次々と開発されてきている.免疫血清検査の抗原抗体反応による測定法は,オクタロニー法や感作赤血球凝集反応などが主流であったが,ELISA法(enzyme-linked immunosorbent assay),EIA法(enzyme immunoassay),CLIA法(chemiluminescent immunoassay),ECLIA(electrochemiluminescence immunoassay)法などさまざまな感度が優れ,測定時間の短縮された方法が開発されてきた.モノクロナール抗体精製技術が当時開発された時,多くの検査項目を生み出すと想像しただろうか.近い将来,一般病院でも遺伝子検査や質量分析がルーチン検査に導入されるかもしれない.一方,生理検査は心電図や脳波が主であったが,超音波検査や誘発電位検査が技師の手に委ねられている.現在では,超音波検査はあらゆる部位に拡大されてきている.誘発電位検査は手術室に入ってモニタリングに対応している.その他の分野でも開発された新しい検査法や業務があり,対応するには常に最新の情報を得て知識,技術を習得することが必要である.院内・検査室内の定期的な勉強会はもちろんであるが,学会や研修会など外部の勉強会へ積極的に参加する必要がある.また,それぞれの分野の業務に直結した認定技師の取得を推奨する.
診療サイドとの連携は必須であり,症例検討会,キャンサーボード,バスキュラーボードなどの多職種協同のカンファレンスに参加し,コミュニケーションをとらなければならない.臨床検査は,測定結果が出たところで業務が終了と思われがちであるが,結果の解釈をアドバイスサービスすることや,検査結果に基づいて他職種と協同で患者さんへ介入することも必要と思われる.栄養サポートチーム,感染対策チーム,糖尿病療養指導支援などのチーム医療がそれにあたり,積極的にかかわるべきである.チーム医療への参画が院内・外の新たなネットワークを作り,新しいチームの創成へとつながる.
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