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細胞診でP. jiroveciiをみつけるコツ
塩竈 和也
1
,
堤 寬
1
1藤田保健衛生大学医学部第一病理学
pp.806-807
発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103644
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はじめに
Pneumocystis jirovecii(ニューモシスチス・イロヴェチ)は,ニューモシスチス肺炎(日和見感染症)の病原体である.最近の分子生物学的解析によって,原虫ではなく,真菌の一種に属することが明らかになり1),「国際植物命名規約」2)に基づいて学名が旧名のP. cariniiからP. jiroveciiへと修正された.Jiroveciiの名称は,チェコ人寄生虫学者のJirovec(イロヴェツ)にちなんでいる.これにより,長年親しまれてきた「カリニ肺炎」の病名が,「ニューモシスチス肺炎」に変更された.従来使われてきたPCP(Pneumocystis carinii pneumonia)の略称は,Pneumocystis pneumoniaとして引き続き用いられている.
P. jiroveciiは通常不顕性だが,AIDS(acquired immune deficiency syndrome)をはじめとする細胞性免疫不全患者に急性びまん性間質性肺炎をもたらす.感染肺組織の肺胞内で,囊子中に8個の栄養体が形成され,放出された栄養体が二分裂あるいは有性生殖により増殖するとされる3).治療薬であるST合剤(sulfamethoxazoleとtrimethoprimの合剤)により,治癒率が飛躍的に高まり,AIDS(acquired immune deficiency syndrome)患者の本症による死亡は近年激減した.
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