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検査の概要
ガス壊疽菌群は菌体外毒素を産生する嫌気性菌で,外傷性または非外傷性(内因性,特発性)に体内に侵入し,骨格筋,腸管,胆囊,子宮などの壊疽を生じさせ,ショック状態を引き起こす.患者からはClostridium perfringensが,次いでClos-tridium septicumが高頻度に分離される.C.per-fringens septicaemiaの場合,しばしば血管内溶血(massive intravascular haemolysis)を伴い,この場合,致死率が急激に高まる.また,急性腹症や大腸菌O-157による溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome,HUS)の患児にC.septicumガス壊疽がしばしばみられるという報告にも注目すべきである.
迅速診断と迅速かつ適切な対応(病巣部の外科的切除と抗菌薬療法)により救命が可能となる.リスクが考えられる患者の診察では,まず疑うことが肝要である.特発性のものが臨床ではより重要で,致死率も高くなる傾向がある.C.perfringensの場合は8時間程度,C.septicumの場合は12~24時間程度がデッドラインである.
細菌検査では下記の検体の塗抹標本の観察結果から可能な限り情報を得て,「ガス壊疽菌群疑いのグラム陽性桿菌確認」とできるだけ早く主治医に一報することが必要である.培養検査結果の出る翌日では治療に全く役立たない場合が多いからである.ガス壊疽菌群は発育が極めて早く,ガス産生菌が多いので,継時的なカルチャーボトルの混濁・ガス産生の有無の観察を数時間後から開始し,陽性所見に対する早期の対応が重要である.
①血液(塗抹・血液培養)
②筋壊死(ガス壊疽)またはその疑い由来の材料など
③胆汁(術中採取,経皮経肝胆道ドレナージ時採取)
④産科由来検体など
一般血液検査末梢血スメア標本,血液・生化学検査(ヘモグロビン値など)結果の情報を得ることも重要である.
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