技術講座 一般
尿試験紙法における異常反応への対応
堀田 真希
1
1大阪大学医学部附属病院医療技術部検査部門
pp.517-521
発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103186
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新しい知見
尿試験紙法における異常反応(偽反応)は大部分が投与薬剤の尿中代謝物によるものである.尿試験紙法は,ほとんどの項目が化学的な反応原理を用いているため,薬剤の代謝物が検査対象物質と類似の構造や反応基がある場合,これらと容易に反応する.また尿試験紙の呈色部分に尿の色がかぶることによっても偽陽性になることがある.尿試験紙の反応色が陽性と異なる場合(異常発色)は発見しやすいが,陽性色と同じ呈色の場合は発見が困難である.発見には尿沈渣や尿の色調,他の項目との乖離や偽反応を起こす薬剤を投与する診療科名などにより推測できるが,すべての偽反応を検出することは非常に難しいことである.偽反応により誤った成績から診断や治療が行われることを防ぐため「尿試験紙法には偽反応があるもの」ということを臨床側に理解してもらう必要がある.
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