技術講座 生理
下肢動脈の血管エコー検査
中島 里枝子
1,2
,
井上 芳徳
2
1文京学院大学保健医療技術学部臨床検査学科
2東京医科歯科大学血管外科
pp.353-358
発行日 2011年5月1日
Published Date 2011/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103132
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新しい知見
末梢動脈閉塞症(peripheral arterial disease,PAD)の治療において腸骨動脈領域における血管内治療の5年開存率は80%前後と高く報告されている1).一方,検査法においても低侵襲の診断法が望ましく超音波検査への期待は大きい.ところが腸骨動脈領域は体表からの深さ,腸管ガス,動脈の蛇行などの影響により描出による画像所見には限界がある.そのため多くの施設では,鼠径部での血流波形によって腸骨動脈の病変の有無を推測するという間接的な評価法が用いられている.そのため,この部位における波形評価による50%以上の狭窄を検出する感度は29%程度と低い.しかしながら,トレッドミルによる運動負荷後に波形評価を行うと感度が89%に上昇したとの報告がある(2010)2).有意病変が存在していても安静時パルスドプラ波形が良好であれば機能は代償されていると考えられるが,跛行症状がある場合には,より詳細な画像および機能の両面からの評価を行うべきであろう.
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