トピックス
ApoE-rich HDLと動脈硬化
三井田 孝
1
,
平山 哲
1
1順天堂大学医学部臨床検査医学
pp.735-737
発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102883
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はじめに
高比重リポ蛋白(high density lipoprotein,HDL)は,比重が最も重く,直径が最も小さいリポ蛋白である.ほかのリポ蛋白に先駆けて,HDLはウマの血清中から1929年にMacheboeufによって発見された1).リポ蛋白様の脂質と蛋白の複合体は昆虫にも認められ,ヒトのHDLに似た特徴をもつHDL粒子は,既に硬骨魚に存在するという(軟骨魚には極めて少ないが).霊長類を除く哺乳類では,HDLが主要なリポ蛋白である.ヒトの場合も,臍帯血中のコレステロールの約50~60%はHDLに存在する2).培養細胞を用いた実験系では,HDLを添加することによりマクロファージの泡沫化が抑制され,泡沫細胞の脱泡沫化が促進される.このほかに,HDLには抗炎症作用,抗血栓作用,抗酸化作用などがあると報告されており,動脈硬化を抑制するリポ蛋白であると考えられる.
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