オピニオン
細胞検査士の将来像―臨床医に期待される細胞検査士
竹中 明美
1
1大阪府立成人病センター臨床検査科
pp.324
発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102788
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私が細胞の織りなす“色の世界”に魅せられ細胞診を職業と選んだ当時(30年以上前)は,臨床検査技師のなかでも細胞検査に携わる人は少なく,資格を取得するには数少ない専門書で個人的に勉強している人がほとんどでした.そのころの細胞診の検体は婦人科(綿棒擦過),喀痰,胃洗浄液など,いわゆる剥離細胞が主でした.その後,気管支鏡擦過細胞診など,新鮮な細胞が採取されるようになりましたが,はじめは判定基準がわからず変性(剥離)した細胞のほうが判定しやすいと思っていました.呼吸器では喀痰から透視下肺穿刺・気管支擦過に,胃洗浄液から胃生検捺印(胃カメラの発達のため)にというように新鮮細胞の採取が盛んに行われるようになり,細胞所見も明確になってきました.
近年,画像診断の発達に伴い微小病変が発見されるようになり,また新しい細胞判定基準が必要になってきました.微小病変は早期癌,境界病変が多く,異型の乏しい癌や前癌状態の細胞が採取されてきます.昔(?),癌細胞は大きく,核異型やクロマチン増量といった著明な判定基準が存在したのに,今では小型で核異型も少ない癌の判定をしなくてはなりません.また,病変が小さく,組織の採取が難しい症例や細胞診のみで判定する臓器や病変も増えてきました.
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