技術講座 生化学
―ホルモンの測定シリーズ・12 膵臓・消化管系:1―グルカゴン,ガストリン
泉谷 昌志
1
1国立がんセンター研究所生化学部
pp.189-193
発行日 2010年3月1日
Published Date 2010/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102753
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新しい知見
グルカゴンは膵臓ランゲルハンス島α細胞から分泌されるペプチドホルモンであるが,これを認識する抗体と反応する,より大きい分子量の蛋白が腸管で発現していることが以前から知られており,“腸管グルカゴン”などと呼ばれていた.その後の研究により,同一遺伝子(ヒト第2染色体長腕上のGCG遺伝子)からプレプログルカゴンと呼ばれる180アミノ酸長の前駆体蛋白が産生された後,それが異なる部位で酵素的に切断されることにより,グルカゴンをはじめとした複数のポリペプチドになることがわかった(図1).この切断は組織特異的であり,腸管のL細胞ではグルカゴン以外のグリセンチン,オキシントモジュリン,GLP(glucagon-like peptide)-1,GLP-2が産生されるが,これらの生理機能や,糖尿病などの病態との関連性についても探索が続けられている.
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