疾患と検査値の推移
百日咳
岡田 賢司
1
1国立病院機構福岡病院
pp.106-111
発行日 2010年2月1日
Published Date 2010/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102738
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百日咳患者の報告数および年齢の変化
百日咳は,感染症法5類感染症・定点把握疾患に分類され,全国約3,000の小児科定点から報告されている.百日咳ワクチンを含むDTaP(Diphtheria-Tetanus-acellular Pertussis,旧称:DTP)三種混合ワクチン開始後の感染症発生動向調査での定点当たりの百日咳患者報告数を示す(図1)1).1982年から4~5年ごとに小さな増減を繰り返しながら報告数は着実に減少してきたが,2005年から増加してきた.2007年には大学や高校での集団発生が報告され,2008年は過去10年にないほどの多数の報告があった.
近年の特徴に患者年齢の変化がある.2000年,乳児は46.7%,1歳18.1%,2~3歳13.5%と3歳までが約80%で20歳以上は2.2%であった.その後,次第に10~14歳以上,特に20歳以上が増加してきた.20歳以上の割合は2002年4.0%,2004年9.5%,2006年24.3%,2008年36.7%,2009年13週時点で38.2%となっている(図2)1).この報告は,小児科の定点医療機関に受診した患者報告である点に注意が必要である.成人は内科を受診しているため,成人症例を含めた全体像を把握するためには,内科を含めた報告システムが必要となっている.
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