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コリンエステラーゼ作動性症状を有する中毒患者への緊急検査
池田 弘典
1
,
川崎 誠司
1
1佐賀大学医学部附属病院検査部
pp.1500-1502
発行日 2009年12月1日
Published Date 2009/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102707
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はじめに
コリンエステラーゼ(cholinesterase,ChE)作動性症状を引き起こす中毒物質には,①有機リン系農薬,②カーバメート系農薬,③化学兵器の神経剤(サリン,ソマンなど)といった化学物質以外にも,④ジャガイモの芽(ソラニン)などがある1).このような毒物の生体に対する作用機序の特徴は,ChE活性阻害作用である.
ChEは,コリンエステルをコリンと有機酸に分解する酵素であり,生体にはacetylcholinesterase[EC3.1.1.7](AChE)とcholinesterase[EC3.1.1.8]の2種類が存在する.AChEは,自律神経節や交換,副交感神経節に存在し,神経伝達物質であるアセチルコリンを分解する役割を担っている.通常AChEは,酵素活性部位でアセチル基と結合するが,上記物質による中毒時はリン酸基と結合する.その結果,リン酸化されたAChEは酵素活性を失うため,分解されずに神経節に過剰に蓄積されたアセチルコリンによって典型的な神経刺激作用を引き起こす1~3).
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