講座 異常値の出るメカニズム・47 酵素検査(7)
血清コリンエステラーゼ
玄番 昭夫
1
Teruo Gemba
1
1中央鉄道病院・中央臨床検査室
pp.543-549
発行日 1982年3月10日
Published Date 1982/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217690
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コリンエステラーゼの種類と分布
コリンエステラーゼの種類
一般にコリンエステラーゼ(Cholinesterase ChE,EC 3.1.1.8)と呼んでいるものは,次のようにアセチルコリンのみならず,その他のアシルコリン(ベンゾイルコリン,ブチリルコリンなど)の加水分解を触媒する酵素である.
これに対して,アセチルコリンエステラーゼ(Acetylcholinesterase,AChE,EC 3.1.1.7)とは,という反応を触媒する酵素に対して名付けられたものである.前者のChEを別名偽のコリンエステラーゼ(Pseudocholinesterase)と呼び,そして後者のAChEを真のコリンエステーゼ(Truecholinesterase)と呼ぶのは,ChEがアセチルコリンも分解するので,おそらくAChEの偽ものといった意味からであろうと思われる.そしてこの両者を区別して測定したいときには,ChEの場合はベンゾイルまたはブチリルコリンを,AChEの場合はアセチル-β-メチルコリンをそれぞれ基質として使用する.すなわち,アセチル-β-メチルコリンはChEによって分解せず,AChEによってのみ分解(ただしアセチルコリンのときよりもその分解速度は遅い)されるのに対し,AChEはベンゾイルやブチリルコリンを分解しないからである.
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