増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学
VI 病理
各論
2 循環障害
下 正宗
1
1東京勤労者医療会東葛病院臨床病理科・検査科
pp.1238-1240
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102627
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はじめに
生命活動は細胞内外の物質移動により支えられている.これらの物質は水に溶けて移動する.ヒト体内の水分は全体重の60%を占める.循環障害を考えるときにはこの水分全体の動きを考えなければならないが,狭義には血液の流れを中心に障害を考えればよい.
血流に関与するのは,ポンプである心臓と流路である血管である.血管は動脈,毛細血管,静脈に分けられ,特殊な経路,そしてリンパ管がある.
血流の障害の最も基本的なことは血液が流れないことである.その原因は流路内で血流が途絶することと血流を発生させる心臓が機能しないことに分けられる.また,出血などで循環血液が減少する状況も考えられるが,本稿では触れない.
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