増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学
IV 血液像
各論
1 健常者の血液像
1 末梢血液像観察時の留意点
川田 勉
1
1東海大学医学部付属八王子病院中央臨床検査科
pp.1082-1085
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102587
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1 末梢血液像の観察の
ポイント
末梢血液像を観察する際は,良い塗抹標本を作製し,検査者自身が正常細胞や異常所見を熟知していることが大切である.
そして,そのポイントは以下のとおりである.
①検体採取は適切な抗凝固剤を用いて行う.
②細胞形態は,時間経過とともに変化をきたすので,検体採取後できる限り速やかに標本を作製する.
③染色条件(染色液の濃度や染色時間)を一定に保つことにより,バラツキのない染色態度を得る.
④整備された顕微鏡を正しく使用する.
⑤血球数算定や患者情報を念頭に置き観察する.
⑥観察は,低倍率(100倍)・中倍率(400倍)・高倍率(1,000倍)にて行う.
白血球分類は白血球数にもよるが,100~200個を基本とする.
・低倍率(観察部位は標本全体:白血球の分布状況,血小板凝集の確認など)
・中倍率(観察部位は図1を参照:血球数算定との比較確認,各血球形態の観察,白血球分類など)
・高倍率(中倍率で詳細な確認を必要とする所見が認められた場合など)
⑦各種細胞の基本的構造の特徴を正しく理解すること.
⑧判別困難な細胞に遭遇した場合は,同じ標本内にみられる定型的な細胞と核や細胞質の大きさ,染色性や顆粒の状態を比較し判別する.
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