増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学
III 一般検査
総論
1 一般検査に関する形態像観察の基礎
3 穿刺液検査
稲垣 清剛
1
1愛知県厚生連安城更生病院臨床検査技術科
pp.996-1000
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102569
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はじめに
穿刺液中に出現する細胞は,血液細胞はもとより材料独特のものがあり,髄液では髄液腔を形成している脈絡叢細胞やくも膜被覆細胞,軟膜細胞,上衣細胞など,胸・腹水では中皮細胞,関節液にいたっては滑膜細胞などがこれに相当する.一方,異型細胞(一般検査では悪性細胞または悪性を疑う細胞)は特に胸・腹水で高率に出現するため,これらを良性細胞と的確に鑑別する能力が要求される.また,穿刺液中の細胞は浮遊状態で存在しており,その環境下によって程度の差こそあれ絶えず変性を受けている.低浸透圧の髄液では採取後経時的に形態変化が生じるし(図1a),化膿性疾患が関与した穿刺液では,細胞数の増加とともに好中球の壊死を主とした融解像もみられる(図2).
本稿では変性像や互いに類似する細胞,異型細胞などについて,メイ・グリュンワルド・ギムザ(May-Grunwald-Giemsa)染色での形態的基礎知識や鑑別ポイントを述べる.
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