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Q.成人T細胞白血病・リンパ腫で高カルシウム血症となるのはなぜか?
成人T細胞白血病・リンパ腫(adult T-cell leukemia/lymphoma,ATL)では高カルシウム血症が起きやすいと言われていますが,その理由を教えてください.(中津市 F.S.生)
A.本倉 徹
はじめに
腫瘍に伴う腫瘍随伴症候群の代表的病態が,高カルシウム血症である.進行癌患者の10%,末期癌では30%,そして成人T細胞白血病・リンパ腫(adult T-cell leukemia/lymphoma,ATL)では約80%に認められる.
その発症機序によって,腫瘍細胞が産生・分泌する液性因子による骨吸収亢進が原因の腫瘍随伴性体液性高カルシウム血症(humoral hypercalcemia of malignancy,HHM)と,広範な骨転移に伴う局所的な骨破壊が原因の局所性骨溶解性高カルシウム血症(local osteolytic hypercalcemia,LOH)に大きく分けられる.
前者は,骨病変がないにもかかわらず高カルシウム血症を呈するが,後者は広範な骨破壊像が認められる.前者の主たる原因が副甲状腺ホルモン関連蛋白質(parathyroid hormone-related protein,PTHrP)で,その他に活性型ビタミンDや副甲状腺ホルモン(PTH)が挙げられる1).
後者は,局所で産生されるインターロイキン1(interleukin1,IL-1),IL-6,腫瘍壊死因子α(tumor necrosis factor α,TNF-α),PTHrP,マクロファージ炎症性蛋白質1(macrophage inflammatory protein 1,MIP-1)が骨吸収を担う破骨細胞の分化・成熟ならびに骨吸収作用を促進している2).
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